代表挨拶
『復興』
2013年、所用で福島へ行く機会を得た。バスの車窓からいわき市の街並み。屋根ばかりがやたらきれいな家、あるいは壊れたままで手つかずの住宅や、基礎だけが残っている家、ブルーシートに覆われたままの建物、積み上げられた瓦礫…。いや、瓦礫なんかじゃない、大切な、たくさんの思い出たち…。
海沿いは壊滅的。聞くと見るでは大違いだと、改めて感じた。
あの震災から、２年半も過ぎているのに、国内外からあんなにたくさんの寄付が集まり、助成金も出ているのに、それがどこに使われているのかが皆目見えない。復興には「まだ８年かかる」といわれている。
地元の人の話を聞くことができた。亡くなって見つかった人は、両の手に何かを持っていたそうだ。大事な何かを握りしめ、利き手が使えなかったんだろう、と。
『調和』
2004年、初めてドイツを訪れた。
バスの車窓から、美しい山々の連なりを眺める。
調和のとれた自然が美しい。
家々は離れすぎず、近すぎず、屋根の色も壁の色も同系色で、お互いの生活を尊重してきた歴史と文化を感じさせ、
通り過ぎるものにも、安らぎが伝わってくる。
日本では、文化遺産として守られるはずのところさえも
それぞれが個人的なイメージだけで建てている家が目立つ。
周りの景観などお構いなく、”便利”と”利益”が優先されてしまっているのか。
調和のない街並みは、調和のない暮らしをもたらす。
今の日本の街並みの調和のなさは、日々暮らす環境の悪化や、他人への迷惑を顧みない子どもや大人を増やし
挙句に犯罪の増加につながっているのではないだろうか。
昔にあと戻りすることは出来ないけれど
ここらでひと休みして、伝統という大切な忘れものに思いを馳せ、癒しの時代にして行きましょうよ。
自然の素朴さを活かした住まいを造り続けることで
心和む、景観や自然と調和する暮らしを提唱し続けてゆきます。
（２００４年
『日本の夜明け』
日本の夜明け、と言われた時代から百年余り、この間の時の流れは、とても長かった。でも、日本人が疾走してきた明治・大正・昭和から平成の変化を思うとき、この百年が短いようにも感じる。
石の道具を使っていた古代人が鉄器を使うようになるまでに、数千年の経過を辿ったことを思うと、この間の変化のスピードは暴走と言えるかもしれません。
昔に後戻りすることはできませんが、ここらでひと休みして、あちこちに落としてきてしまった日本の忘れ物を、せめて想いのうちで、拾い集めてみたいと思いました。そこに、魂の原点がきっとあるはず。
日本に生まれてよかった、と思う人が増えることを願い、自然素材を生かした、ゆとりある生活を営める住まいをこれからも作り続けてゆきます。
予算について
『家にかかる費用』は長い目で…。
あなたのご家族皆様のご希望に添ったオリジナルな設計、ご入居後のフォロー、安心して暮らし続けるためのアフターサービス、そういった諸々のものに費用は絡んできますので、一概にこの材料でこの工法で…、といったことだけでは費用を決められない部分があります。
しかし、工事施工中に気になることがあった場合、施工には設計・請負した私が立ち会いますので、その場で話し合うことができるのが、直接受注の大きなメリットです。
融通の利かせられる部分は当初の予算費用以内での変更を重視します。
どうしても価格変更が出てしまう場合はその都度相談しながら進めます。
大手さんでは営業職という専門の方がいて、彼らの勉強してきている内容や購買心理学などはこちらもとても勉強になりますが、私たちはそのような費用を掛けられない代わりに、実際に暮らす方との対話や暮らし心地、必要とされるスペースについての話し合いを重視しています。
営業担当がないということは、担当者が一生変わらないということでもあるわけです。
また、実際に暮らしていく中で必要になる変更などにも、設計、施工した私が何年経っても常駐していますから、いつでも対応させていただきます。
設計について
『家造り』に一番大切なこと…？
家を建てるために最も重要なポイントは、工法？材料？予算？業者？
… どれもそれぞれ大切なものですが、“家”の場合は、設計が最も重要です。
だから設計は充分に、時間をかけて検討してください。
私たちは設計時に、住まわれるご家族の毎日の暮らしを充分考慮に入れ、動線、収納、採光、通風等、建てる土地に適した、現実に即したアドバイスをさせていただいています。
また、家は一生で一番大きな買い物だとよく言われますが、そこにかかる費用は建てるそのときだけのものではない、ということを念頭においてください。
建てる時の見積り額が安くても、お住まいになっている間にいろいろな不具合が出てきた場合、すぐに対応してもらえるかどうか、保証は何処まで責任を持ってくれるのか、そういう類のことも、長く暮らすことを考えるととても大切なポイントになります。